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【WasedaJスクール創設記念 キックオフシンポジウム第5弾】

本シンポジウムは早稲田政治学会研究会のなかで開催いたします。あわせて早稲田政治学会プログラムもご参照ください。【終了しました】

 

1. 日時:2008年3月8日(土曜日) 9時30分より(9時より受付開始)

2. 場所:早稲田大学・西早稲田キャンパス 1号館・3号館

3. 受付:1号館402号室

4. 発表者とテーマ

共通論題A:《現代世界のメディア・アナリシス》

時間:15:00~16:40

・報告者 谷藤 悦史(早稲田大学)

「政治コミュニケーションの変容と研究動向」

・報告者 日野 愛郎(首都大学東京)

「極右政党のマスメディア利用とコミュニケーション戦略:ベルギーを事例にした比較分析」

・報告者 久保 慶一(早稲田大学)

「旧ユーゴスラビア地域における政治とメディア」

・討論者 Bukh, Alexander(日本学術振興会)

・司会  田中 孝彦(早稲田大学)

 

Jスクールキックオフ・シンポジウム

【第5回 2008年3月8日】「現代世界のメディア・アナリシス」

【第4回 2008年1月26日】「インテリジェンス」

【第3回 2007年11月25日】「質の高い報道、専門職としてのジャーナリスト-取材力と倫理をどう高めるか:日本と英国の視点-」

【第2回 2007年7月28日】「ジャーナリズム・インテリジェンス・公共圏」

【第1 回 2007年7月27日】「ジャーナリズム、マスコミ研究の現状と明日:日中韓共同シンポジウム」

・第5回キックオフ・シンポジウム:2008年3月8日

日野愛郎氏

【日野 愛郎氏】

 Jスクールの第5回キックオフ・シンポジウム「現代世界のメディア・アナリシス」が、2008年3月8日、午後3時~4時45分、早稲田大学西早稲田キャンパス1号館4階401教室にて開催された。Jスクールと早稲田政治学会が共催した。春休み中という時期にもかかわらず、セッションには70名近くの聴衆が集まり、間近に迫ったJスクール発足と、本セッションのテーマへの関心の高さが伺われた。司会の田中孝彦・早稲田大学政治経済学術院教授による導入のあと、谷藤悦史氏(早稲田大学)、日野愛郎氏(首都大学東京)、久保慶一氏(早稲田大学)の3人のパネリストより報告が行われた。

 谷藤氏は「政治コミュニケーションの変容と研究動向」というタイトルで、米国を中心に発展してきた政治コミュニケーション研究の発展を歴史的に概観し、政治環境や政治アクター、メディアをとりまく環境の変化という流れのなかで、ミクロ研究の分野で①態度研究から認知研究へ、②政治マーケティング研究、③ニューメディアの政治的利用の研究、という3つの発展があり、マクロ研究においては、①政治のメディア化・メディアの政治化と民主主義の関連、②体制変動とメディアの関連、という2つの分野で研究の発展が著しいことを指摘した。谷藤氏は報告のなかで、一国研究から比較研究へという流れがここ10年余の研究潮流となっていることを強調した。Jスクールにおけるメディアの政治学的分析においても、比較研究を進めていくことが重要であろうと思われる。

 日野氏は「極右政党のマスメディア利用とコミュニケーション戦略-ベルギーを事例にした比較分析」というタイトルの報告を行い、政党による政治マーケティング(選挙市場における有権者への政党・候補者・政策の売り込み)を分析した。日野氏はまず、ベルギーの極右政党が行ったキャンペーンの映像や配布物を材料として内容分析を行い、それらの政党がどのような狙いのもとにどのようなキャンペーンを行ったかを明らかにした。さらに、これらの政党が戸別訪問、パンフレット配布などの政治キャンペーンに他の政党と比べてはるかに大きい額の支出をしており、その大部分が政党助成金によってまかなわれていること、マスメディアの利用においては政見放送をたくみに利用したことが指摘された。その後、政党助成金制度と政見放送制度が極右政党の成功に貢献していることを明らかにするため、西欧15ヶ国、1950~2004年の選挙をもとにした計量分析を行い、政見放送制度が極右政党の出現を促す傾向にあるのに対し、政党助成金は極右政党の出現と勢力拡大の双方を促す傾向にあることを指摘した。

 久保氏は「旧ユーゴスラビア地域における政治とメディア」というタイトルで、1990年代以降の旧ユーゴスラビア地域の事例分析を行った。まずナショナリズムとメディアの関連について、全国ネットのテレビ局が作られなかったことが、国民統合を維持しようとする連邦エリートの弱体化につながったことを指摘し、また、当時の映像を上映して、共和国エリートがナショナリズムを高揚させるためにメディアを積極的に活用したことを示した。つぎに選挙権威主義体制におけるメディアの役割を論じ、国営メディアが政権寄りの報道を行い、反体制の独立系メディアが弾圧されたことが指摘された。つぎに、内戦や空爆に関連し、旧ユーゴ諸国が内戦の際に国際世論を味方につけるためメディア・キャンペーンを行ったこと、NATO空爆の際にもNATOとユーゴの双方がメディアを積極的に利用しようとしたことを示した。最後に、旧ユーゴ地域において、戦犯行為の映像がテレビ放映されたことを契機に独善的な事実認識が変化したり戦犯裁判に発展したりする事例があり、「真実と和解」においてメディアが肯定的な役割を果たす可能性もあるのではないかと論じた。

 3人の報告の後、アレクサンダル・ブッフ氏(日本学術振興会)が討論を行い、メディアを独立した存在としてとらえるよりも、社会内の関係性のなかでとらえるべきではないか、欧州の極右政党の台頭の背景には、欧州統合や移民の流入といった社会的要因も重要ではないか、ナショナリズムにおけるメディアの役割について、アンダーソンの理論をもっと批判的にとらえるべきではないか、といった問題提起がなされ、その後、フロアも交えた議論が行われた。

 司会の田中氏はシンポジウムを次のように締めくくった。「政治によってメディアが劣化し、メディアの劣化によって国民、政治が劣化するという悪循環が起こりかねないように思われる。だとすれば、Jスクールの存在意義はますますもって大きくなると言えるのではないだろうか」。ジャーナリズム・メディアの役割に関する深い洞察力を養うためには、メディアの政治学的分析を総合的に進めていかなければならないことを示したシンポジウムであった。

 

会場の様子

【会場の様子】

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・第4回キックオフ・シンポジウム:2008年1月26日

佐藤優氏

【佐藤 優氏】

 早稲田大学Jスクール創設記念・キックオフシンポ第4弾が、外務省事務官(起訴休職中)で作家の佐藤優氏らを招いて1月26日午後2時半~5時、西早稲田キャンパス1号館401教室で開催された。メインテーマは「インテリジェンス」。4月に創設される大学院政治学研究科ジャーナリズムコース(Jスクール)と早稲田大学現代政治経済研究所、「20世紀メディア研究所」が共催した。

 「自壊する帝国」で第38回大宅ノンフィクションを受賞した佐藤氏は、07年後半にも「私のマルクス」「国家論」「インテリジェンス人間論」などの話題作を精力的に発表し、言論界で大いに注目されている。教室にはインテリジェンス研究者やジャーナリズム関係者だけでなく学生が多数詰めかけ、立ち見がでる盛況さだった。

 講演タイトルは「インテリジェンス原論の構想――ジャーナリズムコース開設にあたって」。20世紀メディア研究所代表でこの日のシンポジウムの司会を務めた山本武利・早稲田大学政治経済学術院教授が提案した。

 佐藤氏は、「インテリジェンス原論の構想はそもそも不可能」と述べる一方、「その不可能の可能性に挑むのは面白い」と語り、今後、インテリジェンス原論を組み立てていく上でのポイントを6点に分けて示した。6点とは(1)原論とは何か(2)方法論について(3)内閣情報調査室職員の問題をどう見るか(4)メディアとインテリジェンス(5)公共圏について(6)今考えていること――。

 詳細は割愛させていただくが、佐藤氏の話は、新カント主義、シュライエルマッハの解釈学、ロシアへの情報漏洩容疑で摘発されたばかりの内閣情報調査室職員、中世の総合智などなど、時代と分野を自在にかけめぐって展開され、その知的な面白さに参加者は大満足の様子だった。インテリジェンスとジャーナリズムの関係では、佐藤氏は、インテリジェンスを「国家が生き残るための実践的な総合智」であると規定。国家はインテリジェンス機能を強化していかねばならないが、それがおかしくならないように規制するのがジャーナリズムと市民の役割であり、とても重要であると指摘した。

 佐藤氏は2008年度、早稲田大学ジャーナリズムコースの「ジャーナリズムの使命」(前期、オムニバス)と「ジャーナリズムとインテリジェンス」(後期、オムニバス)という二つの授業で講義を担当する。インテリジェンス原論の構築に向けた刺激的な講義が期待される。

 なおシンポジウムでは、佐藤氏のほか、白水祥太郎氏(早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程)が「マレー作戦に向けての日本のインテリジェンス――軍産学からのアプローチ」という話をした。

 ジャーナリズムコースについては、シンポジウムの冒頭、佐藤正志・大学院政治学研究科長が「ジャーナリズムの修士号を付与する日本初のJスクール。3年間実施してきた科学技術ジャーナリスト養成プログラムの経験を生かし、政治、経済、国際、社会、文化の各分野の専門知をそなえたジャーナリストを育てていく」と挨拶した。また、飯島昇蔵・政治経済学術院長は早稲田Jスクールの試みを紹介する1月4日付のJapan Times の記事に触れながら「外国特派員は日本のジャーナリズムが権威に弱いと指摘している。民主的市民が求める真のジャーナリズムを育ててほしい」と語った。

 

会場の様子

【会場の様子】

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・第3回キックオフ・シンポジウム:2007年11月25日

 テレビ報道に長年携わり、07年夏まで英国オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所の元研究担当ディレクターを務めたパディ・コルター氏をお招きし、「質の高い報道、専門職としてのジャーナリスト」というテーマのシンポジウムを、2007年11月25日午後2時~4時半、早稲田大学国際会議場第1会議室で開催した。日本と英国の実情を比較しつつ、どうすればジャーナリストの取材力と倫理を高めていくことができるのかについて、実のある議論が交わされた。

 早稲田Jスクール創設記念のキックオフシンポ第3弾。早稲田大学大学院政治学研究科と、新聞社・通信社・テレビ局の現役記者らで組織する「取材報道ディスカッショングループ」が共催した。

 パネリストは、パディ氏のほか、政治コミュニケーションなどを専門とする谷藤悦史・早稲田大学大学院政治学研究科教授と、報道ディスカッショングループのメンバーで、07年夏まで1年間、ロイタージャーナリズム研究所に留学していた共同通信社会部記者の澤康臣氏。司会は瀬川至朗・毎日新聞論説委員(08年1月より早稲田大学ジャーナリズムコース プログラム・マネージャー)。

 シンポジウムでは、佐藤正志・早稲田大学大学院政治学研究科長のあいさつの後、まずパディ氏が基調講演をし、英国のジャーナリズムの現状について詳しく報告した。英国では、BBC放送のGilligan事件をはじめ、浅薄でセンセーショナルなスタイルを好む政治ジャーナリズム、ウェブや24時間ニュースチャンネルが流すインパクト重視のニュースなど、ジャーナリズムの質や信頼が危機に直面するような変化が起きていると指摘。その一方で、BBCが社内記者を対象に、ネットなどでの生涯トレーニングを導入したほか、英国内でメディアについてのシンクタンクや研究機関が誕生するなど、報道の質と倫理を高める取り組みも進んでいると話した。大学が果たす役割も大きく、アカデミズムは、ジャーナリズムが現実に直面している課題を対象とすることが大切だと語った。

 基調講演を受けたパネルディスカッションは、日本と英国のジャーナリズムを比較する形で展開した。

 谷藤氏は、英国のジャーナリズムを歴史的なスパンで捉え、第1期の主張ジャーナリズム、第2期の客観ジャーナリズム、第3期の解釈・批評ジャーナリズムと腑分けした。パディ氏の指摘は、この第3期の解釈・批評ジャーナリズムの危機であり、そうした危機を克服していくためにも、専門知や倫理などを学ぶジャーナリズム大学院は重要だと語った。

 澤氏は、市民からの信頼という点で英国のジャーナリズムは課題に直面しており、それは日本の報道現場にも共通すると指摘した。マスコミ不信の中で、若い記者が萎縮し、例えば、犯罪や事故の被害者に取材に行くことをためらい、何を取材すべきかより、まず何を取材してはいけないかを考えるようになっている。取材される側の権利を尊重しつつ、どこまで取材できるかに取り組むことがプロフェッショナルではないかと述べた。

 パネル討論では、アカデミズムとジャーナリズムの連携の難しさも浮き彫りになったが、パディ氏は、英国では両者の理解は進みつつあるし、期待できると語った。会場には現役のジャーナリストも多数出席し、会場との質疑応答にも熱が入った。

 シンポジウムを通じ、大学においてアカデミズムとジャーナリズムが真に融合したジャーナリスト教育を実現していくには、アカデミズムの側もジャーナリズムの側も旧来の姿勢から脱却し、自ら変わっていかなければいけないことが痛感された。

 

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・第2回キックオフ・シンポジウム:2007年7月28日

 Jスクールの第2回キックオフ・シンポジウムは、《ジャーナリズム・インテリジェンス・公共圏》というタイトルで、7月28日の土曜日の午後1時~午後4時まで、早稲田大学西早稲田キャンパス1号館4階401教室にて開催された。急な告知であったにもかかわらず、およそ100名の聴衆が会場を埋め、講師とトピックに対する関心の高さをうかがわせた。佐藤正志・早稲田大学大学院政治学研究科長のあいさつに続き、佐藤優・元外務省主任分析官による「21世紀インテリジェンス原論の構想」という講演と、田勢康弘・早稲田大学大学院公共経営学科教授による「報道の問題点:インテリジェンスとの関連において」が行われ、斉藤純一・早稲田大学大学院政治学研究科教授による対論が続いた。それぞれの分野で第一者として活躍する3人の論者の熱い議論を通じて、ジャーナリズムとインテリジェンスと公共圏との三位一体の関係が明らかとなった。公共圏とは、現在政治思想を中心とする分野で、もっともホットなトピックのひとつである。しかしながら、情報を「開く」ことは、情報を「閉じる」ことの裏面であり、その意味では公共圏とインテリジェンスの研究は表裏一体であるともいえる。そして公共圏とインテリジェンスを媒介する実践としてジャーナリズムがあるとすれば、この三者の相互関連は、今後のJスクールの中心的研究課題となるに違いない。若き日の佐藤氏を「発掘」したのが田勢記者であったということや佐藤氏と斉藤氏のヘーゲル読み比べなど、細かなエピソードも含めて興味の尽きないシンポジウムであった。

 

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・第1回キックオフ・シンポジウム:2007年7月27日

 Jスクール(ジャーナリズムコース)創設記念のキックオフシンポ第1弾として、内外の研究者を集めた日中韓共同シンポジウム「ジャーナリズム、マスコミ研究の現状と明日」が2007年7月27日午後1時半~5時、早稲田大学の小野梓記念講堂で開催された。

 早稲田大学では現代政治経済研究所(政治経済学術院の組織)を中心にジャーナリズム研究に取り組んできた。今シンポジウムは、こうした研究成果を踏まえ、将来におけるジャーナリズム・マスコミ研究、さらに大学院における高度専門職業人としてのジャーナリスト養成についての展望を、アジアをキーワードに議論した。早稲田大学現代政治経済研究所所長の谷藤悦史政治経済学部教授がシンポジウムを主幹し、シンポジウムの司会を務めた。

 シンポジウムでは、まず、佐藤正志・早稲田大学大学院政治学研究科長が「ジャーナリズム教育への早稲田大学大学院政治学研究科の挑戦」と題し、2008年4月に創設されるジャーナリズムコースの取り組みについて、歴史的、現代的な観点から報告した。2005年に文部科学省の支援でスタートした科学技術ジャーナリスト養成プログラムが発展する形で、ジャーナリズムコースが誕生する経緯が述べられ、新コースの教育方針を示す5つのコンセプトが紹介された。特徴として、早稲田大学の全学連携による教育システムと、アジアの各大学との共同による「アジアに強い国際ジャーナリスト」の養成が挙げられた。

 中国からは復旦大学の李双龍教授が参加し、「中国ジャーナリズム教育の現状と問題点」をテーマに報告した。韓国からは鮮文大学校の李錬・新聞放送学科教授が「韓国におけるジャーナリズム研究の現状と未来」と題して報告した。両国ともに、ジャーナリズム研究と教育の初期には、日本の大学やジャーナリズムの影響を強く受けていたことが指摘され、また、ネットに代表される多メディアの時代のジャーナリズム教育を模索している点で共通点がみられた。

 日本のジャーナリズム教育の現状については、大井眞二・日本大学法学部教授と大石裕・慶應大学法学部教授が報告した。現役のジャーナリストがジャーナリズム大学院で再教育を受けることの重要性が指摘され、マスコミと教育の現場がもっと手を携えてジャーナリズム教育に取り組む必要性が強調された。

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