講義科目 概要

<基礎共通科目>

 

・方法論科目(規範理論、経験的方法)

 およそどのようなプロフェッションであろうと、正確に事実を捉え、それに基づいて的確な判断を下すことのできる能力がまず求められます。政治学研究科では、これまで、すべての政治学研究の前提として、専門的な研究者になるにせよ、高度な知識をもつ職業人になるにせよ、その活動の基礎となる知的能力を学生が獲得するのを支援するために、入門的方法論教育を重視してきました。そのために開発され、政治学コースの全学生が学んでいるのが、「政治学研究方法入門(経験、数理、規範)」という授業科目です。ジャーナリズムコース(J-School)では、その成果を生かし、この方法論教育をジャーナリズムに特化して展開します。

 一方で、客観的報道の前提となる、事実の調査・分析の基本的方法について学びます。これが【方法論科目(経験的方法)】です。方法論(メソドロジー)として重要なのは、単なるスキルとしての方法ではなく、経験的事実にアプローチする多様な方法の意味を知ることです。他方で、客観的事実が社会的にもつ価値関連について、ジャーナリストとしての実践的立場との関わりにおいて学びます。これが【方法論科目(規範理論)】です。経験的事実の認識と規範的価値の追求との密接な関連を知り、経験的分析の有効性や、規範的議論の妥当性について考えることがここでは重要です。

 

・知識情報リテラシー科目

 洪水のように押し寄せる日々の情報……。現代のジャーナリストには、真に重要な問題を見抜き、選りすぐりの情報に基づいた適確な分析を、それを必要とする世界の人々に届ける能力が求められています。【知識情報リテラシー科目】では、情報の収集と発信にかかわる能力のスキルアップをはかり、情報の荒波に流されることなく、進むべき道を照らしうるような、たくましいジャーナリストの育成を試みます。

 「英語リーディング入門」、「英語ライティング入門」、「英語ライティング実習」では、経験豊かな石塚雅彦講師が、ジャーナリズムにフォーカスした国際的情報発信能力を、「読む」、「書く」の両面から徹底的に鍛えます。

 「論文作成入門」、「情報発信実習」、「英語ライティング・プレゼンテーション」では、政治学コースの学生とともに、アカデミックな情報発信能力のスキルアップをめざします。情報発信の現場でのアカデミズムとジャーナリズムの融合をはかり、ジャーナリストとしての専門知を強化します。

 

<コア理論科目>

・ジャーナリズム・メディア研究セミナー

 
 ジャーナリズムは今、試練のときを迎えています。政府のメディアコントロールが強まるなか、メディアに対する市民の信頼が揺らぎ、個人情報保護法などで存立基盤が脅かされています。そもそもジャーナリズムとは何か。その使命と倫理、そしてジャーナリズムの未来について、突き詰めて議論します。講師には経験の豊富なジャーナリストやメディア企業の幹部を招きます。アカデミズムのジャーナリズム・メディア研究者も議論に参加します。

 

「ジャーナリズムの使命」

 メディアで活躍しているフリーランスの実力派ジャーナリストを講師に迎え、自らの取材体験をもとに、ジャーナリズムは何をなすべきか、ジャーナリストに求められるもの――などの点について語ってもらい、受講生と議論を重ねていきます。オムニバス授業。▽吉岡忍講師(ノンフィクション作家)▽山本美香講師(ジャーナリスト、ジャパンプレス)▽大治朋子講師(毎日新聞記者)▽魚住昭講師(ジャーナリスト、元共同通信記者)――の各氏らが1~3回ずつの講義を担当する予定です。

 

「報道現場論」

 現役記者を講師に招き、「個人情報保護法と実名報道」といったテーマを始め、日々の報道が抱えるさまざまな課題を議論していく予定です。新聞、テレビ、通信社の中堅記者らで組織する「取材報道ディスカッショングループ」が協力してくれます。

・ジャーナリズム・メディア研究

 ネットの普及や映像(動画)のデジタル化など、メディアが今ほど多様化した時代はありません。大量の情報が行き交う現代。ジャーナリズムとメディアについて、今一度、その歴史と現在を冷静な目でじっくりと腑分けし、全体像を再構築していく作業が求められます。

 【ジャーナリズム・メディア研究】では、早稲田大学の専門研究者らが「マスコミュニケーション理論」「ジャーナリズム研究」「ジャーナリズム史」「メディア論」「メディア産業論」「ネット社会の実相」などの授業を展開します。

 ジャーナリズムコースでは、ジャーナリズムの教育・研究を中心に据えつつ、メディア研究、さらには広報やプロパガンダ、インテリジェンスといった分野を広く視野に入れた教育・研究に取り組みます。学内外の研究者による専門分野の授業を開講します。

 また、実務家の方々を講師に招いて、報道現場と密接に連携し、「現在」に焦点を当てた授業を、各分野で用意しています。 「政治ジャーナリズムの現在」、「出版ジャーナリズムの現在」、「放送ジャーナリズムの現在」、「ウェブ・ジャーナリズムの現在」、「パブリックリレーションズの現在」、「Contemporary Journalism in Asia」(英語科目)などの授業を開講します。

 

・専門研究

 世界のジャーナリズム教育にあって、これまで日本のジャーナリズム教育に欠けていたもの、それは専門的知識に関する体系的教育のカリキュラムです。21世紀に活躍するジャーナリストには、幅広い視座とともに、みずからが得意とするフィールドにおいて、研究者にひけをとらない、深い専門的な理解が求められています。

  【コア理論科目】の専門研究では、早稲田大学大学院で現在教鞭を執っている専門研究者が、【政治】、【国際】、【経済】、【社会】、【文化】【科学技術】の6つの分野で教育にあたります。それぞれの分野では、J-Schoolのために特別のクラスを準備する一方、学生の能力と関心に応じて、専門研究者をめざす学生たち向けのクラスにも参加できるような構造になっています。

  【政治】分野では、政治学研究科と国際教養学部とが協力しつつ、日本の政治を歴史と規範と実証の両面から多角的に検討します。この分野の講義を履修することで、現代政治の研究に欠かせない理論や制度に関する知識を、その正確な分析と解釈のためのツールとともに身につけることができます。また、そうした情報を海外に向けて発信していくために、英語クラスも準備しています。

  【国際】分野では、政治学研究科の専門研究者を中心に、国際政治と地域研究に関する知識を、体系的に学ぶことができます。国際派ジャーナリストをめざす学生のために、Introduction
    to International Relationsという英語クラスを準備したほか、アジアに強いジャーナリストの育成を意識した、アジア諸地域に関する専門科目が充実しています。

 【経済】分野では、経済学研究科の教員が中心となって、商学研究科、国際情報通信研究科などの協力をえながら、経済に強い専門ジャーナリストの育成をめざします。基礎理論と現実分析のバランスに留意し、開発やコーポレート・ガバナンス、メディア経営など特色ある領域を重点的にカバーしました。
 さらにこれまで経済を専門としてこなかった受講生にも十分配慮し、多くの入門的な科目を配置しています。

 【社会】分野では、法学研究科および法務研究科、さらに社会科学研究科の協力をえながら現代社会が直面する課題を、法、福祉、労働、環境などの視座から浮き彫りにします。次第に掘り崩される日常生活のセキュリティの現状を的確に把握しながら、それに対抗しうる方策を、公共性をキーワードに社会のなかから探ってゆきます。

 【文化】分野では、学内の他の学術院の協力のもと、文化に関する専門研究者の力を結集した学科目を提供します。歴史と伝統ある本学の文芸ジャーナリズムの現場に実際に触れながら、出版文化の歴史と現状を多角的に検証するとともに、台頭しつつあるニュー・メディアとそのコンテンツの可能性を展望します。

 【科学技術】分野では、現代社会の隅々に入り込んだ科学技術について歴史的、哲学的、社会的視点からアプローチし、科学技術と社会の相互作用についての理解を深める学科目を提供します。科学技術の専門知の授業も提供します。旧科学技術ジャーナリスト養成プログラム(MAJESTy)で開発した授業群を基盤に発展させていきます。  

 こうした専門分野の研究と並行し、現代社会が直面する重要な課題を、学問分野を超え、多角的に検討するオムニバス形式の【総合研究】を準備しています。「ジャーナリズムとインテリジェンス」、「地球環境問題と持続可能な社会」.。こうしたアクチュアルかつグローバルな課題をめぐって、多分野の専門研究者が、鋭く時代に切り込んでいきます。 

 ひとつの分野を極めるもよし、5つの分野のすべてを学び、現代社会の鳥瞰図をえるもよし。カリキュラムをデザインするのはあなた自身です。J-Schoo;では、大学全体の力を結集し、みなさんの期待にこたえます。