「専門認定プログラム(データジャーナリズム)」について
政治経済学術院 准教授
田中 幹人
 
 コンピュータの性能が進化し、オンラインでビッグデータの取得が容易になったこと、さらに社会でデータ開示の流れが進んだことなどにより、データサイエンス・ブームが始まりました。こうした中で、2012年頃からはこれらの技術を駆使して調査報道を行う「データジャーナリスト」という新たな職種への期待が世界中で高まりました。
 
 ジャーナリズムコース(J-School)でも、2016年度から「データジャーナリズム」という新たな認定プログラムを設置しています。その後、データサイエンス・ブームは広く社会を席巻し、機械学習などの技術も日進月歩で発展しています。しかし日本では、高度技能人材を特別雇用できない日本企業の特徴、調査報道が低調化する傾向などもあり、表面的には「データジャーナリズム」は一過性のブームで終わったようです。それでも、データジャーナリストの登場を促す環境は変わっておらず、「ビッグデータの時代に、コンピュータを駆使して調査報道を行う」という、その職能の必要性はますます増しています。
 
 他の認定プログラムと同様、「データジャーナリズム」認定の希望者は、指定された講義のリストから履修講義を組み合わせ、所定単位を取得することで認定を得ることが出来ます。
 
 特にこの認定プログラムの中核となっているのは、基礎編である「データジャーナリズム基礎」、中級編のPython言語を中心に学ぶ「ジャーナリストのためのプログラミング入門」の二つの講義です。前者の基礎編を履修するのは毎年10名程度ですが、後者の中級編も履修するのは5名程度、さらにこの中級編の単位を獲得できるのはそのうち6割程度となっています。
 
 入学時にこの認定プログラムを希望する学生は多いですが、この通りかなり厳しいプログラムになっています。そのため、最終的に修了認定されるのは毎年1〜2名ほどです。狭き門ですが、それだけにやり遂げた修了生は極めて高い技能を持ち、メディア企業のみならず、多様な分野で活躍しています。
 
 最新のスキルを学べるよう、現在もこの認定プログラムのカリキュラムは進化し続けています。呼称はどうあれ、コンピュータ、ネットそして統計を使いこなす、極めて高度な職能を持ったジャーナリストがここから育っていくことを期待しています。
 
同窓会報第11号記事
2020.3.20配信