ジャーナリズムを“初めて”学んで
J-School '18年春入学
塩﨑 隆敏 
 
 時折、寿司職人やレストランのシェフをうらやましく思うときがあります。自分が手がけた料理に対し、「おいしかった」と目の前で反応してもらえるからです。記事や放送の場合、なかなかそうはいきません。
 
 1989(平成元)年にスタートした記者生活で、いつの頃からか、料理になぞらえて考えるクセがつきました。ニュースについても個人的には「知的な栄養素」だと思っています。ニュースを“どう料理するか”はいわゆるOJTで学び、他社との競争の中で腕を上げてきたつもりです。しかし、理論面の知識は恥ずかしながら不十分でした。それなりの腕前はあるのに、料理の歴史や栄養学についての知識を持っていない。そんな例えも外れていない気がします。そうした中、J-Schoolの門を叩きました。
 
 社会人が大学院に通うハードルはまだまだ高いと言えます。ですが私の場合は、たまたま通うことができる環境にありました。2017年から2年間、BS1で海外ニュースを伝える朝の番組「キャッチ!世界のトップニュース」のキャスターを担当していました。出勤は午前2時。午前7時からの生放送と翌日の打ち合わせの後、早ければ午前10時過ぎには勤務を終えられます。2018年の春からスタートした第2の学生生活は睡眠不足と闘いながらでしたが、とても充実したものとなりました。
 
 実際、『論文基礎』で学んだ“一文一義”は、番組で解説コメントを書く上でも役立ちました。『ジャーナリズム史』や『表現の自由の基礎理論』を含め、J-Schoolで、“初めて”系統だってジャーナリズムを学ぶことができました。でも、それ以上に私にとって貴重だったのは、ジャーナリズム志望の若者たちとの交流です。記者を志した頃の原点に立ち返ることができたからです。
 
 去年(2019年)の異動で、長年希望していたNHK放送文化研究所(文研)に配属されました。現在は、メディア研究部で海外メディアの研究をするグループのリーダーを務めています。メディアに対する不信は海外でも見られます。文研が毎月刊行している『放送研究と調査』では、最新のメディアの動きや新たなジャーナリズムの試みなども発信しています。放送とジャーナリズムは今後、どうなっていくのか? そのためには、さまざまな問いを立てていく必要があります。論考を書くにあたっての腕をJ-Schoolで磨けたと思っています。瀬川・川岸両先生やゼミの仲間に感謝の気持ちでいっぱいです。
 
同窓会報第11号記事
2020.3.20配信